2020年8月5日 本日の鹿児島県北西部は快晴。

さて、今日は哲学曜日。初期の哲学を纏めます。
20190825


二つの源流
ソクラテス氏までが哲学の一つの区切りだと書きましたが、この中で、現代に続く潮流の二つの源流が発生しています。それが、タレス氏を源流とする「自然に重きをおく」という勢力とピタゴラス氏を源流とする「精神の働きに重きをおく」という勢力です。こ世界の根源を自然に求めた派閥はその後「科学」の世界を広げて行き、世界の成り立ちを人の精神や知的活動に求めた派閥は「哲学」と呼ばれる学問の祖となり、同時に数学や精神学を発展させていきました。ソクラテス氏はピタゴラス氏の影響を色濃く受け継いでいるので、現代に繋がる哲学の系譜としてはピタゴラスが始祖とも言えるのかもしれませんね。

ソクラテス氏以前の哲学者時代
タレス氏を源流とする自然派ですが、この時代としてはデモクリトス氏でピークを迎えます。その辺のながれを簡単に辿ります。

〇タレス氏が「水」が世界の根源(アルケー)だと考える。
(彼の残したとされる言葉)
およそ存在するもののなかで、最も年古りたるものは神なり、神は生まれざりしものなるがゆえに
最も美しきものは宇宙なり、神の作りしものなるがゆえに
最も大なるものは空間なり、あらゆるものを包含するがゆえに
最も速きものは知性なり、あらゆるものを貫き走るがゆえに
最も強きものは必然なり、あらゆるものを支配するがゆえに
最も賢きものは時なり、あらゆるものを明るみに出すがゆえに

〇ヘラクレイトス氏が「火」を世界の根源(アルケー)だと考える。
万物は絶え間なく流転すると説く。
火は空気の死を生き、空気は火の死を生き、水は空気の死を生き、土は水の死を生きる

〇ピタゴラス氏が「数」が世界の根源(アルケー)だと考える。
(ピタゴラス氏の秘密結社の戒律)
 秤竿を跳び越えてはいけない
コイニクスの穀物の上に座ってはならない
心臓は食べてはいけない
松の小枝でお尻を拭いてはいけない
太陽に向かって小便をしてはいけない
軒下に燕を来させてはいけない
ソラマメを食べてはいけない

〇パルメニデス氏が「有は消滅も生成もしない」と説く
プラトン氏のイデア論につながる影響を与えた人物とされ、形而上学の始祖と呼ぶ人もいる。

〇エンペドクレス氏が火、空気、土、水の4つの元素を世界の根源(アルケー)だと考える。
4つの元素は「愛と憎しみ」のバランスによってその挙動を変え、調和と変化を繰り返すと説いた。

〇アナクサゴラス氏がアテナイに哲学を伝播。
4元素を越えて、物質の無限分割論を展開。事柄においての起因の正体は理性(ヌース)と説く。

〇レウキッポス氏とデモクリトス氏によって原子論的が説かれる
世界のアルケーはアトムと空虚である。世界は絶えず生成消滅しているように見えるが、それはアトムが空虚の中で融合したり離反したりすることからもたらされる。アトムそのものは何らの外的作用をもうけず、変化もせず、堅固な性質のものである。世界には何者もあらぬものから生ずることはないし、あらぬものへと消滅することもない。すべてはアトムの運動によって動いている(デモクリトス氏)

というのがソクラテス氏以前の哲学のおおまかな流れなのですが、デモクリトス氏は膨大な著書を残したとされるも、その作品群は一切伝わっておらず、何らかの政治的理由の存在を匂わせます。原子論によって最高潮に達した自然派でしたが、その後は、世界の根源というよりも、より細かい事象に対しての観測と研究に分化して行きます。そして、哲学はプラトン氏からアリストテレス氏へと繋がる「精神や知的活動」に重きを置いた考察が中心の分野として発展していったのです。

雑感
デモクリトス氏の作品が残されていれば、現在の哲学史も非常に変わっていたかもしれませんが、どこかの時代の段階で封殺されたのでしょう。私個人は、その後の哲学史がキリスト教と密接にかかわっている点から西暦0年という文化の創造ととも非常に多くのものが封殺され闇に葬られたと考えています。私達が信じる科学は本当に正しいでしょうか?私達が心動かされる名言は本当に真実を現わしているでしょうか?この全世界的な危機に際して、今一度、「本当の自分の考え」について見直してみませんか?そんなことを思う今日この頃です。