2019年8月23日 本日の鹿児島県北西部は豪雨後曇り。

糖質制限の先輩ブロガーであるみんぽぽ様がとても濃い認知症にまつわる体験談を書いておられます。家族が認知症になったらどうするべきか・・・そういう考察の種が沢山の記事でしたので、みなさまも是非読んで頂きたいです。みんぽぽ様のブログ「身近な出来事/みんぽぽ
なので、本日は、私がデイサービスで働いた経験を書いてみたいと思います。

私が仕事をしていた施設の概要(2015年9月)
サービス付き高齢者向け老人ホームが中核サービスで、部屋数は25部屋。常に満室で認知症のご利用者様が半数弱。完全自立の方はおらず、要介護度の高いご利用者様が主。施設内にデイサービスを併設し、入居しているご利用者様の約半数が利用。デイのご利用者様は皆認知症患者様で、要介護度は2~5。トイレ介助は全員必要という環境。


デイサービスの一日(あくまでも私が仕事をした施設の場合)
8:30 出勤~清掃~スタッフミーティング
8:45 併設ホームへご利用者様をお迎え
9:30 簡単な朝の挨拶と体操
9:45 ~11:45 6人~10人をお風呂入れ、しつつ、塗り絵や簡単な創作作業。日誌の作成等。
11:45 昼食前の健康体操と昼食準備
12:00 昼食(平均10人のご利用者様の食事介助を3人でやりつつ諸事対応)
13:00~14:00 お昼寝タイム(ご利用者様の午前の様子や食事量や投薬に関する事項など連絡帳に詳細記入)
14:00 起床~軽い体操
14:30 レクリエーション(クイズ、カラオケ、軽く体を動かすゲーム等々)
15:00 おやつ
15:30 レクリエーション2(ビデオ鑑賞、音楽鑑賞、お絵かき等々)
16:30 終わりの会
16:45 お送り出発
17:00 清掃~スタッフミーティング
17:30 終業

楽しかったこと

認知症とは言え、情報の宝庫。お年寄りとの会話はどんな本を読むより貴重な物語を教えてくれます。戦前、戦中、戦後、高度経済成長、どのように生き抜いてきたかという話を多くの方に聞けたことは私の人生の宝物でもありますし、「ありがとう」「がんばってるね」「ごめんね」「たすかるよ」と事ある毎にかけて頂いた言葉は、今でも脳裏から離れない。大変な仕事ではあったけれど、楽しさも確かにありました。

苦しかったこと
一番は「嘘を吐いてデイまで連れて来る事」。仕事なので、サービスを使って貰わないとお金になりません。なので、どんなに「行きたくない」とごねても連れて行くのが務めです。また、デイに連れてきても「帰る」と言い出すご利用者様が出ますので、「もう直ぐ子どもさんがお見えになりますから待ちましょう」という嘘などは常套句になってしまって、その度に自己嫌悪していました。結局はこれが介護職を離れた一番の理由です。尊敬する先輩達の心に寄り添いたくて選んだ仕事でしたが、現実は、時間に追われるばかりで「ここまで理想と現実が乖離する現場があるか」とかなりショックを受けました。

仕事として大変だったこと

これはご利用者様の数に対する職員の数でもかなり変わると思いますが、私の経験した現場では、午前中のお風呂の時間に3人の職員の内2人が風呂入れにかかり切りになるので、その間はフロアでワンオペレーションになりました。トイレ介助、課題の提供、不穏への対処、日誌作成、を同時進行するので、かなり神経を使いますし、トイレが2~3人重なることは普通ですし、不穏の連鎖が起きるとかなりホラーな状況になりますので、最初の一か月は「こんなの絶対無理」と思ってました。結局、最後まで慣れることはなかったです。あとは、外でのレクリエーションや敬老会やクリスマスなのでイベントがあると、通常業務以外にも仕事があるので、かなり効率的にやらないと回りません。その効率化で犠牲になるのは結局ご利用者様なのですけどね。時間に追われて追われて追われまくります。

雑感

今でもボランティアとして年に数回はお世話になる施設ですが、やはり職員の方々には余裕が感じられません。でも、人員を増やせない経営の厳しさも分かります。都市部で、かなり潤沢な利用料を取れる施設はまた違うのかもしれませんが、地方でサービスが乱立している地域ではギリギリの経営が当たり前。今後、高齢者が非常に増えるので、利用料は高くなってサービスも良くなるかもしれませんので、これからこの職種に就職する人にはもしかしたら良い時代なのかもしれませんが、現状はまだ、かなり厳しい仕事だと思うので、選ばれる方はキチンとした覚悟の上で臨んだ方が良いかもしれませんし、職場体験が可能であれば利用したり、先にアルバイトとして体験してみるのも良いかもしれません。とにかく、未経験だと想像だにしない過酷な世界が待っているのです。
ちなみに私が居た施設はフルタイム勤務で月額総支給13万円程度で、我が町のフルタイムの事務が12万円程度なので、それよりは高い・・という程度。「えっ!そんな金額で生活できんの?」と思われるでしょうけど、田舎なんてそんなものなんですよ。根底には「みんな代々の家で家賃ないやろ?」的な考え方もあって、正社員フルタイムなのに最低賃金以下というのは普通にあるのです。金額が高くても職業としての介護職はもう選びませんけど。

ともあれ、ご利用者様を見て思っていたのは「本当は皆、家族のいる家に帰りたいんだろうなぁ」ということ。家族が訪問したあとのご利用者様の泣き声などは、あまりに切ない経験でした。本当は、自宅にいながら、手厚いケアを受けられる体制こそが望まれているのではないかと思うのですが、いかんせん、介護の知識が足りなすぎるのですよね。義務教育に介護と実習を取り入れるなどして意識そのものを改革して行かないと、施設不足が分かっている10年後を乗り切れないと思うのですが・・・私もできることはして行こうと思います。

認知症に対してはコウノメソッドという取り組みが非常に良い効果を生んでいるそうです。試せる人には試してみて欲しいですね。

糖質制限は認知症リスクも下げるという話もあるので、今後も私は継続して行きます。とはいえ、施設に入る資金もないので、家でお陀仏になるだけなので、良いのですけどね。皆様はどんな人生の終末期を過ごしたいでしょうか・・週末の考察のネタにどうぞ。

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糖尿病性足壊疽の切断を回避した証明写真(グロいです)



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